床の見切り材の種類と選び方。DIYをするときの使い方とポイントもご紹介

床の見切り材には、さまざまな種類があります。DIYをする際に、部屋のデザインを損ねたり段差ができたりしないよう、種類ごとの特徴と選び方を把握しておきましょう。

この記事では、床の見切り材の種類と選び方について解説します。さらに、DIYをするときの設置手順とポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

床の見切り材とは?

床の見切り材は床材の接合部や端部に用いられる重要な部材で、「エッジング」などと呼ばれることもあります。

主な役割は、異なる床材の高さを均一に調整し、つまずきや段差を防ぐことです。また、床材の端部を保護し、耐久性を向上させる役割も担っています。

さらに、見切り材は床材のデザインや仕上げを美しく整え、部屋全体に統一感を持たせることにも役立ちます。

床の見切り材は必要なのか

とはいえ、床の見切り材は必ず使用しなければならないものではありません。段差を解消したり、美しい仕上げを施す方法が他にあれば、見切り材を使用しなくても問題はないでしょう。

ただし通常、床は日常的な使用や摩擦によって端部が剥がれたり、傷ついたりすることが多い場所です。見切り材を使うことで床材同士の接合部を保護し、剥がれや傷を予防することができます。

「家の価値を維持したい」「よい状態で長く住み続けたい」という方は、見切り材を使って床をきれいに保つことがおすすめです。

床の見切り材の種類

床の見切り材には、主に「フローリング材同士の見切り材」「段差解消用の見切り材」といった種類があります。ここではそれぞれの特徴を解説し、さらに床以外の見切り材についても紹介します。

フローリング材同士の見切り材

フローリング同士の見切り材は、異なる厚みのフローリングをつなぐために使用されます。フローリング材には、主に「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類があり、それぞれ厚みが異なります。

種類 無垢フローリング 複合フローリング 厚み 15mm 12mm

無垢フローリングと複合フローリングは厚みが異なるため、これらを並べると段差が生じてしまいます。見切り材を利用することで、フローリング間の段差を解消することが可能です。

また、フローリングは季節や湿度の変化によって床材が膨張・収縮することがあります。見切り材を使用することで、床材の伸縮を最小限に抑え、フローリングの安定性を確保できるのです。

段差解消用の見切り材

段差解消用の見切り材は、フローリングの上に敷いたクッションフロアやタイルなど、異なる床材同士の段差を解消するために使用されます。

典型的なケースとして、「キッチンとリビングの間に段差がある」という状況が挙げられます。キッチンとリビングは異なる機能を持つため、それぞれ違う素材の床材が使用されることも少なくありません。そのため、場合によっては大きな段差が生じるケースがあるでしょう。

見切り材を設置することによって段差を解消し、スムーズな移動とつまずき防止につながります。

床以外の見切り材

床以外でも、見切り材を設置するケースがあります。例えば、複合フローリングやフロアタイルを敷くと、壁との間に隙間ができることがあります。見切り材を使用することで、床と壁の接合部分が美しく仕上がり、隙間にごみやホコリがたまるのを防ぐことが可能です。

さらに、壁材を腰上と腰下で異なる素材にした場合に、切り替え部分に見切り材を活用することもできます。

床の見切り材の効果

床の見切り材には、主に3つの効果があります。

  • 部屋と部屋の境目を綺麗に仕上げる
  • 段差を解消する
  • 剥がれを防止する

それぞれの効果について解説します。

部屋と部屋の境目を綺麗に仕上げる

床の見切り材には、主に部屋と部屋の境目を美しく仕上げる効果があります。一般的に、壁や床の境目、押し入れとの間などに使用され、部屋同士の境界線を美しく整えます。

また、床材が変わる部分でも見切り材は役立ちます。一戸建て住宅などでは、キッチンはフロアタイル、ダイニングはフローリングなど、異なる床材を使用することがよくあります。見切り材を使えば、床材の接合部をきれいに隠すことができます。

段差を解消する

床の見切り材は、段差を解消するために利用されることもあります。例えば、既存の床にマットなどを敷いた場合、どうしても段差が生じてしまいかねません。ここに見切り材を取り入れることで、床とマットとの間にある段差を解消することができます。

段差のある床は、見た目だけでなく、安全性にも影響を及ぼすことがあります。特に高齢者や子ども、身体の不自由な方にとって、段差はつまずきや転倒を引き起こす可能性が高い場所です。実際に、高齢者の約6割は自宅で転倒事故を経験しているという統計データがあります。

高齢者の転倒事故の多くは、住み慣れた自宅で発生しています。東京消防庁によれば、およそ6割は自宅で転んでおり、具体的な場所は、居間・寝室、玄関、階段・廊下、浴室です。 出典:政府広報オンライン|たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?

見切り材を使用することによって、こうした事故を防ぐことにつながり、自宅の安全性を向上させることができるでしょう。

剥がれを防止する

床や壁などに施される仕上げ材の端部分は、日常生活や外部からの圧力によって剥がれることがあります。見切り材の利用により、仕上げ材の端部分を保護し、耐久性を向上させることが可能です。

また、見切り材は階段の滑り止めとしても活用されます。階段は滑りやすい場所であり、場合によっては事故につながりかねません。見切り材を設置することで安全性を高め、滑ったり転倒したりするリスクを軽減できます。

床の見切り材の選び方

床の見切り材には、さまざまな種類があります。そのため無闇に選ぶと、部屋の雰囲気や床材の素材に合わず、再度購入し直さなくてはならなくなってしまいます。

床の見切り材を選ぶ際に重要なのは、次の4つのポイントに注目することです。

  • 素材
  • 形状
  • 幅・厚さ

それぞれのポイントについて解説します。

素材

見切り材の素材は数種類あるため、部屋のスタイルや用途に合わせて適切な素材を選びましょう。一般的な見切り材の素材は次の通りです。

  • 木製
  • 樹脂製
  • 金属製

木製は最も一般的な素材です。自然な温かみがあり、床との調和を取りやすく、どのような雰囲気の部屋にも違和感なく溶け込むでしょう。

樹脂製の見切り材は手頃な価格なものが多く、カラーバリエーションが豊富です。金属製の見切り材は細いものが多いため、モダンな雰囲気を演出するのに適しています。

見切り材の色は、床の仕上げ材と同じものを選ぶことが一般的です。これにより、床材と調和し、部屋全体に一体感が生まれます。一方で、見切り材の色を床材とは対照的にすることで、部屋にアクセントを加えることができます。

色選びに迷った場合は、サンプルを使って試してみましょう。

形状

床の見切り材には、主に3つの形状があります。

見切り材タイプ 主な使用箇所 特徴 T型 異なる床材の交差部や接合部 床材のつなぎ目や段差を解消し、均等に仕上げる フラット型 同じ厚みの床材の接合部 階段や廊下などで美しい見た目を保持する L型 床材と壁の接合部 床材の端を保護し、美しい仕上がりを実現する

部屋のどの部分で見切り材を使用するかによって、適切な形状を選びましょう。

幅・厚さ

見切り材の幅は通常、20mmから45mmまでのバリエーションがあります。幅が狭いタイプの場合、床のつなぎ目を目立ちにくくし、自然な仕上がりにすることが可能です。一方、幅が広いタイプの場合は、異なる厚みの床材をつなげる際に段差をカバーしやすくなります。

また、見切り材は厚さも重要です。床材の厚みを計測し、適切な見切り材を選びましょう。そうすることで床の保護にも役立ち、長い時間美しい仕上がりを維持することができます。

床の見切り材の使い方

見切り材の設置はDIYで行うことができます。DIYをする際の主な手順は次の通りです。

  1. 正確に寸法を測定する
  2. 適切な素材と色を選定する
  3. 施工箇所を掃除する
  4. 見切り材をカットする
  5. しっかりと床に固定する

それぞれの手順について解説します。

1.正確に寸法を測定する

まず、床の厚み、幅、段差の高さなどを正確に測定します。測定を誤ると、見切り材がフィットしなかったり、段差を解消できなかったりする可能性があります。

測定した寸法に基づいて、適切な高さと長さの見切り材を選びましょう。

2.適切な素材と色を選定する

次に、素材と色を選定します。床材と同じ素材や似た色の見切り材を選ぶことで、部屋全体に統一感を持たせることができます。

例えば、フローリングの床に木製の見切り材を選ぶと、調和が保たれて美しい仕上がりになります。反対に、アクセントを付けたい場合は、床材と異なる素材や色を選んでみることも検討してみてください。

3.施工箇所を掃除する

床の見切り材を正確に取り付けるためには、施工箇所を十分に掃除する必要があります。

ホコリや汚れを取り除くことで、見切り材が床にしっかりと密着し、安定感を高めることができます。ホコリや汚れが残っていると、見切り材を取り付ける際に隙間が生じたり、不安定になったりする可能性があるため、注意が必要です。

4.見切り材をカットする

掃除を終えたら、見切り材を施工箇所に合わせてカットします。計測を行い、正確な計測を行い、適切な長さを確保しましょう。角に取り付ける場合は、一般的に45度の角度でカットすることが適切です。

ここで、注意深くカットしなければ、見切り材が設置場所に合わない可能性があります。ユニバーサルカッターやのこぎりなど、適切な工具を使用して正確にカットすることが重要です。

また、施工箇所に受け型を固定することで、見切り材を設置しやすくなります。

5.しっかりと床に固定する

カットが終わったら、見切り材を床に固定します。固定する方法には接着剤、両面テープ、釘などがあります。床の素材や見切り材の種類に合った適切な方法を選びましょう。

最後に、見切り材がずれたり浮いたりしないか確かめてください。必要に応じて、補修や調整を行いましょう。

床の見切り材を使う際のポイント

見切り材を効果的に使用するためには、特に次の2つのポイントに注意する必要があります。

  • カット面をヤスリで整える
  • モール材をビスで止める

見切り材をカットした際には、カット面をヤスリで綺麗に整えることが大切です。カット面が滑らかで均一になると、見切り材が美しく仕上がり、全体の美観を損ないません。

また、モール剤を使用して見切り材を固定する場合、ビスなどでしっかりと固定しておきましょう。これにより、見切り材の安定性を高めることができます。

床の見切り材の活用例

床の見切り材には、さまざまな活用方法があります。

  • キッチンとダイニングで床材を変える
  • 複数の見切り材を組み合わせる

ここでは、この2種類の活用例を紹介します。

キッチンとダイニングで床材を変える

キッチンでは水を多く使用したり、汚れが発生したりしやすいため、タイルフロアなど耐水性のある床材が適しています。一方で、ダイニングではデザイン性や快適な足触りが重視されます。そのため、同じ部屋の中でも異なる床材を使うことが一般的です。

T型見切り材は、異なる床材の組み合わせでも自然な見た目に仕上げてくれます。また、T型見切り材の施工は比較的簡単なため、DIY初心者でも安心して設置できるでしょう。

複数の見切り材を組み合わせる

複数の見切り材を組み合わせることで、床をユニークなデザインに仕上げることができます。特に、畳のある和室や、廊下などが適しているでしょう。

例えば、家具の配置にあわせて縁取りのような形で見切り材を設置することで、スタイリッシュな空間を演出することができます。

ただ、複数の見切り材を組み合わせるには、高度なスキルが必要です。このような設置をする場合は、業者の協力を得ることをおすすめします。

種類や選び方を理解して、見切り材を設置しよう

床の見切り材には、フローリング同士の接合用や段差解消用などの種類があります。自身のイメージする床に合った素材や色、形状、幅、厚さの見切り材を設置しましょう。