床材にはさまざまな種類があり、それぞれのメリット・デメリットが異なります。快適なオフィスや自宅環境を整えるためにも、どのような特徴があるのかを把握しておきましょう。
この記事では、5種類の床材の特徴や、それぞれのメリット・デメリットを解説します。また。商業施設やオフィスなど、使用場所別におすすめの床材を紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
主な床材の種類
床材にはさまざまな種類があります。ここでは主な床材を5種類紹介します。
- フローリング
- カーペット
- ビニール床タイル(フロアタイル)
- 畳
- 石材
それぞれの特徴やメリット・デメリットもあわせて解説します。
フローリング
フローリングには「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類があります。
特徴 無垢フローリング 複合フローリング 構造 天然100% 複数の合板を張り合わせ、表面に木の薄板やシートを貼り付けている 厚さ 通常15mm以上 通常12mm以上 外観 自然な木の風合いと質感があり、経年変化を楽しめる 表面の木材層により見た目が美しい 耐久性 傷がついても表面を削って修復できる 反りや割れなどが起こりにくい 価格 複合フローリングより高価であることが多い 無垢フローリングより安価であることが多い 湿度への反応 湿度や温度変化に敏感であり、定期的なメンテナンスが必要 湿度や温度変化に強く、メンテナンスが比較的簡単このように、無垢フローリングと複合フローリングでは特徴が異なります。
フローリングのメリット
フローリングのメリット- 掃除がしやすい
- 耐久性が高い
- 天然木の質感や香りを楽しめる
フローリングのメリットは、掃除のしやすさと高い耐久性です。表面が滑らかでホコリや汚れを簡単に取り除けるため、室内を清潔に保つことができます。
さらに、フローリングは耐久性が高く、美しい状態を長期間にわたって維持できます。特に無垢フローリングの素材としてよく使われる、チェスナットやチークには傷がつきにくいというメリットもあります。
また、無垢フローリングの場合、天然木の質感や香りを楽しめるのも魅力です。これらの特性を活かすことで、快適な居住環境を実現できるでしょう。
フローリングのデメリット
フローリングのデメリット- 価格が高い
- 傷つきやすい
- メンテナンスが手間になる場合もある
高品質のフローリングは価格が高く、予算を圧迫してしまう可能性があります。
また、家具の移動やペットの爪によって傷がつくことがあります。特に複合フローリングの場合、深い傷がつくと表面の木材層を交換する必要が生じることもあり、修復には一定のコストがかかります。
さらに、無垢フローリングは水に弱いため、見た目と質感を保つためには年に1回程度のワックス塗装が大切です。こうした定期的なメンテナンスが手間になることもあります。
カーペット
カーペットはウールやナイロン、ポリエステルといった素材から作られています。素材によって、特性が異なります。
例えば、ウールカーペットは高級感があり吸湿性に優れていますが、価格が高く、こまめなメンテナンスが必要です。
一方、ナイロンカーペットは耐久性が高く、汚れにも強いため、家庭や商業施設でよく使用されます。また、ポリエステルカーペットはコストパフォーマンスがよく、柔らかい質感を持ち、快適な踏み心地が特徴です。
これらの特性を考慮して、自分に合ったカーペットを選びましょう。
カーペットのメリット
カーペットのメリット- 肌触りがよい
- 滑りにくい
- 防音効果がある
カーペットは保温性とクッション性があり、肌触りのよさを感じられます。そのため、リラックスできる環境を作りたい場合におすすめです。
また、カーペットは滑りにくいという特徴もあるため、廊下や階段といった歩行量の多い場所での使用にも適しています。また、足腰への負担も軽減できるでしょう。
さらに防音効果もあるので、マンションなど静かな環境が求められる場所では下の階への音の響きを減らしてくれるなど、大いに役立つでしょう。
カーペットのデメリット
カーペットのデメリット- 汚れたときに取り扱いが難しい
- 定期的な清掃が必要になる
- 夏場は不快感を抱くこともある
カーペットは汚れた際の取り扱いが難しいというデメリットがあります。食べ物や飲み物などが繊維に絡まりやすく、場合によっては特殊なクリーニングが必要になることもあるでしょう。
また、ホコリがたまりやすいことから定期的な掃除も必要です。湿度の高い環境では、カーペットがダニ発生の温床となる可能性もあります。
夏場はカーペットの毛足が暑さを感じさせ、不快感を抱くこともあります。カーペットを選ぶ際には、これらのデメリットを考慮しましょう。
ビニール床タイル(フロアタイル)
ビニール床タイル(フロアタイル)の素材は、ポリ塩化ビニール製が一般的です。比較的簡単に取り扱うことができ、DIYでも人気があります。
木目調や大理石調などさまざまな質感やカラーバリエーションがあり、室内のデザインに合わせて選べます。
ビニール床タイル(フロアタイル)のメリット
ビニール床タイル(フロアタイル)のメリット- 施工が簡単でメンテナンスの負担が軽い
- 値段もリーズナブル
- 硬度が高く、耐水性に優れている
- 凹みが残りにくく、長期間美しい状態を維持できる
ビニール床タイルは施工やメンテナンスが簡単で、価格も手頃であることが多いです。DIYに向いており、比較的簡単に取り扱うことができます。
硬度が高く、耐水性に優れている点もビニール床タイルのメリットです。また、凹みが残りにくく、長期間美しい状態を維持できます。
ビニール床タイル(フロアタイル)のデメリット
ビニール床タイル(フロアタイル)のデメリット- 裸足で歩くと冷たく感じる
- 防音効果が低い
- 熱に弱い
ビニール床タイルは表面が硬いため、裸足で歩くと冷たく感じる人もいます。床暖房にも適していないため、冬場はスリッパやルームシューズが必要になる場合もあるでしょう。
また、防音効果が低く、音の反響が大きくなることもあります。場合によっては、上の階や隣の部屋に響く可能性がある点に注意が必要です。さらに、高温の物を置いたり直射日光に長時間さらされたりすると、変形や損傷が生じる可能性もあるので、ある程度慎重に取り扱う必要があるでしょう。
畳
畳は奈良〜平安時代から使われてきた床材で、主に天然のイグサとワラで作られています。現代では、再生資源を活用したエコ素材や発泡樹脂系の素材を組み合わせたハイブリッドタイプなど、多様なバリエーションが存在します。
近年では和室だけでなく、洋室に畳が取り入れられることも珍しくありません。伝統とモダンなデザインを組み合わせたり、柔軟にインテリアに合わせられたりする素材として、新たな可能性が広がってきています。
畳のメリット
畳のメリット- 調湿効果がある
- 空気の浄化作用が期待できる
- アロマ効果がある
畳は調湿効果があり、快適な室内環境を維持するのに効果的です。畳一枚で約500ccの湿気を吸い取る機能がある、といわれています。
畳の素材である天然イグサには、空気の浄化作用もあります。空気中の二酸化窒素やホルムアルデヒド等を吸着する機能があるため、快適に過ごす空間を作れます。さらに、畳の香りにはアロマ効果があり、リラックス効果やストレス軽減効果も期待できるでしょう。
畳のデメリット
畳のデメリット- 汚れや水、傷に非常に弱い
- 湿気がこもりやすい
- 修理や取り替えが難しい
畳は汚れや水、傷に非常に弱いです。食べ物や飲み物をこぼすと、畳の繊維にしみ込み、取り除くのが難しくなってしまいます。
また、通気性が悪い部屋では湿気がこもりやすく、ダニやカビの繁殖を促進する可能性もあります。そのため、定期的な換気と湿度管理が必要になるでしょう。
修理や取り替えが難しいという点にも注意が必要です。交換をする場合、部屋全体を新しい畳で張り替える必要があるため、コストや手間がかかります。
石材
大理石などの石材は、華やかで高級感のある雰囲気を演出します。耐汚性や耐水性に優れているうえに、衝撃や摩擦にも強いという特徴があります。
石材のメリット
石材のメリット- 耐久性に優れている
- 簡単にメンテナンスできる
- 高級感を演出できる
石材は耐久性があり、長期間にわたって美しい状態を保ちます。メンテナンスがしやすく、油汚れなども簡単にふき取ることができます。傷や凹みに対しても頑丈であるため、美しさを維持しやすいでしょう。
大理石や花崗岩(かこうがん)などの石材を選べば、空間に高級感や華やかさを演出することができます。
石材のデメリット
石材のデメリット- 施工費用が高い
- ワックスがけや専用のケアが必要になることもある
- 場合によっては割れてしまう
石材は高品質な天然素材であるため、施工費用が高額になることも珍しくありません。事前にしっかりと予算を検討する必要があるでしょう。
また、美しい外観を保つためにはワックスがけや専用のケアが必要です。場合によっては、維持費が高くなることもあるでしょう。さらに、頑丈であるものの、重い物を落としたり強い圧力をかけたりすると割れてしまう可能性もあります。
【用途別】床材の選び方
床材は用途によって変えるのが一般的です。ここでは7つの用途から、おすすめの床材を紹介します。
- 商業施設
- オフィス
- 賃貸物件
- リビング、ダイニング、寝室
- キッチン
- トイレ、洗面所
- 玄関・廊下
商業施設
商業施設に適した床材- フローリング
- タイル
- 石材
商業施設の場合、施設のタイプや用途に応じて適した床材が異なります。大型店舗の場合、店舗が頻繁に入れ替わることから施工性と耐久性に優れた床材が選ばれます。路面店ではデザイン性が重視され、店舗のイメージや雰囲気に合った床材を選ぶことが一般的です。
また、商業施設は通行量が多いため、高い耐摩耗性を持つ床材が適しています。さらに、清掃とメンテナンスのしやすさも考慮しましょう。
オフィス
オフィスに適した床材 <土足の場合>- ビニール床タイル(フロアタイル)
- カーペット
- フローリング
- ビニール床タイル(フロアタイル)
- カーペット
オフィス環境では、外履きと内履きのどちらが利用されるかによって、適切な床材が異なります。土足の場合はビニール床タイルが一般的です。素足や室内履きの場合は、木質のフローリングを採用することもあります。
いずれの場合でも、オフィスでは歩行量が多いため耐久性が重要です。また、椅子や家具の移動による摩耗も考慮しましょう。
賃貸物件
賃貸物件に適した床材- フローリング
- ビニール床タイル(フロアタイル)
賃貸物件は入居者が頻繁に入れ替わるため、手入れやメンテナンスが簡単で、コストパフォーマンスに優れた素材が適しています。一般的には、フローリングやビニール床タイルが選ばれます。
ビニール床タイルは施工が簡単で、クッション性があるため快適な環境を作れます。また、部分的な交換が可能なため、破損時の費用も他の素材に比べて抑えられるでしょう。
無垢フローリングが使用されることもありますが、賃貸物件では床の状態がすぐに劣化してしまうこともあるため、木材の耐久性に注意が必要です。
リビング、ダイニング、寝室
リビング、ダイニング、寝室に適した床材- フローリング
- ビニール床タイル(フロアタイル)
- 畳
- カーペット
通常、リビングやダイニング、寝室などでは無垢フローリングが選ばれます。家庭内における主要な生活の場であるため、デザイン性と機能性が重要視されるためです。
フローリングは美しい木の風合いを楽しむことができ、部屋に温かみをもたらしてくれるでしょう。デザイン面でのバリエーションも豊富で、さまざまな材種や仕上げが選択できます。
さらに、無垢フローリングは耐久性が高く、家具の配置や移動の際にも床が傷つきにくいという特徴からもリビングなどに適しているといえます。ただし、湿度の管理と適切なメンテナンスが必要な点も覚えておきましょう。
キッチン
キッチンに適した床材- フローリング
- ビニール床タイル(フロアタイル)
キッチンの床材を選ぶ際には、水や油の跳ねなどに注意を払うことが重要です。そのため、耐水性と防汚機能が必須です。
アイランドキッチンの場合、床の耐久性が重視されるため、一般的には複合フローリングが選ばれます。独立型キッチンでは、足腰への負担を軽減してくれるビニール床タイル(フロアタイル)が選ばれることが多いです。
トイレ、洗面所
トイレ、洗面所に適した床材トイレや洗面所の床材選びでは、防水性と防汚性が最も重要です。一般的にはビニール床タイルが用いられます。
ビニール床タイルは防水性に優れ、水や湿気に耐性があります。また、アンモニアによるシミ汚れを効果的に防ぎ、衛生的な環境を維持するのに役立つでしょう。
玄関・廊下
玄関・廊下に適した床材- 石材
- ビニール床タイル(フロアタイル)
- フローリング
玄関と廊下は歩行量が多く、日常的に荷物を運んだり靴で踏んだりするため、強度のある床材が必要です。
石材やタイルは傷や汚れに強いため、玄関の床材として用いられることが多いです。玄関には耐候性に優れた御影石などを使用することもあり、荘厳な外観を実現できるでしょう。
廊下はフローリングを統一することで、空間を広く感じさせられます。
選び方のポイントをおさえて、用途に合った床材を選ぼう
床材によって特徴が異なるため、まずは自身の目的を明確にすることが大切です。路面店の場合は、店舗のイメージやターゲットの客層が求める雰囲気にあった床材を選びましょう。長時間立って作業をする場所であれば、足腰に負担がかかりにくいビニール床タイルやカーペットが最適です。
スミノエには、タイルカーペットなどさまざまな素材の床材があります。設置も比較的簡単であり、防炎や制電、防汚・撥水効果に優れているものも揃っています。床材選びに迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。