住江織物株式会社 SUMINOE TEXTILE RECRUITING SITE

住江織物株式会社

オンリーワンへの挑戦「グレースコード」でクルマの内装に新風を!
日本の自動車産業は国内だけでなく、世界でも大きなシェアを占めている。自動車には、安全性、耐久性など多くの面で厳しい基準が設けられている。それは内装材も同じだ。さらに、車内空間の印象も大切である。機能性が高いだけでも、デザインがいいだけでもいけない。両方の要素が求められるのである。住江織物グループのモノづくりのキーワードである「オンリーワン」。車内空間の快適さを発展させ続けてきた住江織物グループでは、新たなオンリーワン商品を世に出すべく、自動車メーカーY社へのシート表皮材提案に向けたプロジェクトがスタートした。

鹿島 修Kashima Osamu

スミノエ テイジン テクノ㈱
営業統括部 第五営業部

1993年入社

西村 治朗Nishimura Jiro

スミノエ テイジン テクノ㈱
開発センター 商品企画部

1992年入社

三村 友香Mimura Yuka

スミノエ テイジン テクノ㈱
開発センター デザイン部

2006年入社

松田 諭哉Matsuda Satoya

スミノエ テイジン テクノ㈱
開発センター 設計開発部

2008年入社

インパクトのある提案で、つかめ、顧客の心。

主要メンバーとしてプロジェクトを任されたのは、スミノエ テイジン テクノ㈱(以下、STT)の営業担当・鹿島修、商品企画担当・西村治朗、デザイン担当・三村友香。全員が参加したプロジェクトの立ち上げ会議において “「細幅織物」を使用したシート表皮材の提案”に取り組むことが明らかとなった。
背景には、業界内で自動車のインテリアに対する新しい装飾表現を求めるニーズの高まりがあった。自動車用のシート表皮材は、かつては1種類の表皮材を張るシンプルなものが多かったが、現在は、メイン材・サイド材・アクセント材などの多様な表皮材を組み合わせて使われることが増えている。こうした新しい装飾表現の台頭を予測していたSTTは、シート表皮材を引き立たせる細幅織物に着目していた。細幅織物というのは、専用の織機を使って細幅(例えば約3cm)に織られたリボン状の織物のことだ。リボンというと、服や帽子の飾りや包装用のものなど様々なところで使われている。しかし、スペックへの要求が厳しい自動車内装材においては、アパレルなどで使用されている通常の細幅織物のままでは品質的に全く通用しない。このため、独自に開発を進め、自動車内装材用のアクセント材としての細幅織物「グレースコード」を開発。商材として温めていた。当然、これを実績に結びつけたいという想いは強い。そのため、今回のプロジェクトは、通常の開発とは異なる流れでスタートすることとなった。通常は自動車メーカーの要望を受けて開発を進めるが、今回は、それを前提として、新たに業界初の商材を盛り込んだ提案をすることになる。しかし、自動車業界では過去に例のない商材はなかなか受け入れられない。
「よほどインパクトのある提案でお客様の心をわしづかみにできなければ勝機はないな」。この鹿島の言葉に、西村が頷く。「Y社はデザイン性も重視していて新しい試みにも前向きだから希望はある」。三村は、2人の先輩たちのやりとりから、デザイン担当という自分の役割の重大さを自覚し、身が引き締まる思いだった。

一度弾かれて自覚した、採用への熱い想い。

まずはY社の内装デザイン部門の担当者に、「グレースコード」の魅力に気づいてもらおう。プレゼンテーションに向け、そう方針を定めた3人は、多種多様なサンプルを作り込むことにした。意匠的に高度で、お客様が要求する性能を満たすものをつくるには、織りの密度はもちろん、素材となる糸の染色方法に至るまで、包装用リボンなどとは異なる取り組みが必要だ。このため、三村が、鹿島とともにお客様の要望を聞き、デザイナー経験もある西村からアドバイスをもらいながらデザインをおこして、二人で織りや染色などに関しても製造現場へ細かく要望を伝えて形にしていった。こうして、皆で力を合わせて様々な「グレースコード」のサンプルが出来上がった。
一方で、鹿島はお客様のもとに足繁く通い、何度もサンプルへの反応を確かめた。「グレースコード」が秘める、これまでにないシートデザインへの可能性がお客様の感性に響いたのか、「もっとこんなこともあんなことも」とサンプルへの要望が出て、採用への期待がふくらんだ。
しかし、こうして完成したサンプルに対するお客様の評価は予想に反するものだった。数多く用意した提案が全て不採用。鹿島の落胆は大きかった。ところが、通知はそれだけでは終わらなかった。もう一度提案のチャンスをいただけるというのだ。「前例のない提案なのに手ごたえは多少あった。もう少し頑張れば次は採用される可能性が高いということだ」。

周囲を巻き込み、ひたすらに挑み続けて。

再提案するにあたって「グレースコード」の採用を確実なものとするためには、品質面をより向上させる必要があった。「グレースコード」がデザイン面でいかに優れていても、前例のない規格外の仕様となれば、開発部門はより一層、安全性や耐久性に責任を持たねばならない。鹿島は、お客様とSTT間の調整役となり、「グレースコード」が満たすべき規格・性能の設定に奔走した。心強かったのは、お客様であるY社デザイン部門が「なんとかものにしたいから」と協力的に動いてくれたことだった。西村と三村は、満たすべき性能一つひとつに根拠のある数値を与え、実際にそれをクリアしていくという大仕事に挑んでいった。
一方で、お客様が求めるデザインイメージの再現という、もう一つの大仕事もあった。例えば、「真ん中に強い赤が入って、グラデーションで消えていくようにしたい」という要望を受ける。すると三村は、何通りものデザインをし、サンプルをつくってもらいイメージを具体化していく。デザインを重視すれば、性能面で問題が出ることも多く、西村のサポートも必須だ。これに営業の鹿島も加わって、3人でY社デザイン部門と「グレースコード」の製造現場を行き来する日が続いた。少しでも早くよい結果を出すために、製作途中のサンプルやCGで判定を仰ぎ、即座に改善にかかることも度々あった。
細かい要望はどこまでも続き、いつ終わるとも知れないやり直しが繰り返された。最後のハードルとなったのは、一度は達成できたのに性能面の問題のために後退してしまったあるデザインイメージの再現だった。試行錯誤の中、ある日、ふとひらめくものを感じた三村は、光沢感と透明感のある特殊な糸を縦方向だけに配してみた。「あ、これだ」。織り上がりをみた瞬間、すとんときた。鹿島と西村を呼び寄せる。「見て、これ」「お、いいね」「決まりかな」。
予想は違わず、提出すると高評価が返ってきた。それからまもなく、鹿島のもとに朗報が届く。「グレースコードが採用になったよ」。すぐに関係者全員と、喜びをわかち合った。

「グレースコード」が新しいトレンドを呼び込んだ!

そこからは、量産立ち上げを担うSTT設計開発担当の松田諭哉の出番だった。織物も他の工業製品同様、量産化に際しては、あらゆる品質上の課題を全て解決しきらなければならない。ところが今回の「グレースコード」は、細幅織物の特質として工程が極めてシンプルだ。このため、何段階もの工程を経る間に工夫を重ねて目標品質に近づけるという通常の手段が使えない。戸惑う製造現場に、「最後に仕上げの一工程を加えることで複数の課題を解決しましょう」と、提言。打ち合わせと試作を繰り返した。発売予定日までの期間は約1年間。試作品をシート成型メーカーに渡しシートに組み立ててテストを行うため、一度の試作に1か月はかかる。日が経つに連れてと松田の目の色が変わっていった。
Y社設計部門との連携も重要だった。松田だけでなく鹿島、西村、三村と、メンバーが総出で、縫い合わせ方の改善策などを提案。かつてないスタイリッシュなシートの実現へと邁進した。
こうしてついに、プロジェクトがスタートしてから約2年後、ニューモデルが世に出た。それは、内装面でかつてない試みが満載された意欲作で、初めて車内空間全体を見た住江織物のプロジェクトメンバーたちを驚嘆させた。たちまち業界の話題をさらったその内装の中で、グレースコードもしっかりと存在感を放っていた----。