住江織物株式会社 SUMINOE TEXTILE RECRUITING SITE

住江織物株式会社

オンリーワンへの挑戦人気のシステムバスを、より環境に優しいものに。
環境負荷低減に貢献することは、全ての企業の社会的責任だ。最終製品のメーカーが素材に求める環境性能も高度化の一途をたどっている。住江織物は、1990年ごろから環境に配慮した技術や商品の開発に力を注ぎ、鉄道車両用オレフィン系床材などの成果を積み重ねてきた。こうした姿勢が評価されたのか、大手住宅設備機器メーカーX社と、システムバスのオリジナル床用表皮材の開発をすることになった。成功すれば、住江織物にとって初のシステムバス用床材開発となる。新規分野の開拓に向け、早速、試作と検討が始まった。

西谷 浩二Nishitani Koji

住江織物㈱
テクニカルセンター 開発部

2005年入社

須見 尚史Sumi Naofumi

住江テクノ㈱
奈良工場 製造部

2011年入社

山口 麻梨子Yamaguchi Mariko

住江織物㈱
機能資材事業部 大阪第2営業部

2011年入社

環境配慮を重視してきた住江織物だからこそ

最初は、機能資材事業部 営業部とテクニカルセンター 開発部のベテラン1人ずつに、同開発部の若手・西谷浩二を加えた3人のメンバーでプロジェクトが進められた。
当時、住江織物は、オレフィン系樹脂をシート状に成形する技術を開発。塩化ビニルが主流の床材分野でオレフィン系樹脂を使用した床材を実現し、すでに鉄道車両分野で採用実績もあった。この床材は、防滑性や防汚性、耐久性などを兼ね備えているうえ、難燃性があり火災に強い。また、リサイクルが可能で、たとえ廃棄段階で燃やしても有毒ガスの発生が極めて少なく環境にやさしい。そのため、次世代床材として注目されており、このプロジェクトでも、お客様からオレフィン系樹脂の使用を期待されていた。しかし同時に、このシステムバスの訴求ポイントである、床表皮の速乾性、清掃性、意匠性、こだわりのカラーバリエーションなどの実現、温水環境下での長期使用に耐えうる耐久性・強度も、採用への絶対条件となっていた。
これまで浴室床材を開発したことのない住江織物にとっては、もちろん極めて難度の高い案件だ。しかし、人気のシステムバスにオレフィン系床材が採用されれば、新規の事業展開となり、環境への貢献度も着実に高まる。「これは必ず成功させる」。ベテラン2人はもちろん、試験機による試作品づくりなどを担当することになる西谷は、立ちはだかる困難に向かって闘志をかきたてた。

入社2年目の2人が加わり、大きな戦力に

根気のいる仕事だった。ゴールは明確だ。オレフィン系樹脂を、格子状に溝を切った、一見タイル張りに見えるほど艶やかなシート状に成形する。溝は見た目だけでなく、排水性を高め、翌朝までにからりと乾くようにするという機能を担う。浅すぎては排水性が損なわれ、深すぎると掃除がしにくくなるため、寸法は極めて厳密だ。加えて、耐久性などの基本的な物性、さらに、最終的には色や艶といったデザイン性も、お客様の要求を満たすよう仕上げなければならない。しかも、加工性やコストへの配慮も必要となる。このゴールに向けて、お客様が設けている数段階の厳しい検査をパスしなければならないのだ。それには、床材の元となる樹脂材料の構成を様々に変えて試験機による試作を行い、評価、改善を繰り返すことで、じりじりと前進するしか道はなかった。
試作開始から約2年後、それまで営業担当のベテランのもとで情報収集などを手伝っていた入社2年目の須見尚史が、一人奮戦を続ける西谷の応援に回ることになった。大学時代、これに近い研究を行っていた須見をメンバーに加えたことで、プロジェクトは加速した。
そして、ようやく試験機での試作から量産機での試作に進み、お客様が用意している数多くの性能評価項目の完全クリアを目指す最終段階にまでこぎつけたころ、須見は正式にテクニカルセンター 開発部に異動。西谷と2人で、問題点の原因を話し合い、仮説を立てて改善を図ることに没頭していった。量産機では約500mのシート状の床材を試作する。すると、たとえば加工中に外気温など周囲の状況の変化により溝が一定の深さにならないなどの問題が起こる。改善はなかなか一直線には進まなかった。須見は、一方で、定められた4色を完璧に再現する調色を完全に任され、これにもほぼ1年を費やした。ほかにも、表面加工やシートの後加工などで充分な耐温水性を確保するなど、どこまでいっても一向に課題は尽きなかった。
須見と同期で生産技術部から営業部に異動した山口麻梨子も、このころには営業担当としてプロジェクトに参加していた。西谷、須見、山口の3人でパートナー工場に通いつめ、様々な改善を繰り返す。技術畑出身の山口は、試作品をお客様のもとに持参し、開発の現状を詳しく報告して、お客様とのパートナーシップを構築していった。

粘り抜いた末の成功で味わった、特別な喜び

とっておきの感動は、プロジェクト開始から約4年後に訪れた。量産品の初回納入が実現したのだ。数多くの項目全てをクリアできると確信したうえでの、満を持しての納入だった。
「ようやくここまで来ることができた。それにしても、メンバーに恵まれたよ。ありがとう」。プロジェクト発足当初から関わってきた西谷の感慨は深い。須見も、「最初は求められたことを淡々とこなすイメージでやっていたのに、いつの間にか、より上を求めるおもしろさにはまっていた気がする」と、今だからこその笑顔だ。山口は、祈るように出荷を見守り、写真に撮り、出て行くトラックを見送った。
後日、お客様から検査合格の一報が山口のもとに入った。ついに最終関門を突破したのだ。この時、山口がまず感じたのは、前任者から引き継いだ別のお客様からの定期的な受注では感じたことのなかった、“売上が上がる”ことへの喜びだった。お客様の期待に応えることができた安堵感、製品への誇りと愛着、チームメンバーへの感謝、達成感、今後への責任感などが、すべてないまぜになった深い喜び。「これがきっと、メーカーである住江織物の営業の醍醐味なんだ」。朗報をみなに伝える山口の声は、いつも以上に弾んで歯切れがよかった。

チームで実らせた成果を、より大きく育てたい

住江織物の営業担当は、受注が決まるや否や、必要最小限に在庫を抑えながらも製品を絶対に切らすことなく供給し続けていくという大きな責任を担うことになる。この浴室床材は色やサイズによって非常に多くのバリエーションがある。その全ての需要を把握、あるいは予測して、自社の製造部門に発注をかけ、トラブルなく回していくのが山口の仕事となった。
一方、須見はその後、製造部に異動し、浴室床材の生産、外注管理を担当することになった。山口からの発注を受け、ものをつくって送り出す。顧客満足をより一層高めるために、完全自社生産なども視野に、改善やコストダウンに取り組み続けた。
正式受注後1年ほど経ったある日、山口は出張先の東京で、急な受注の発生によりある品番が欠品の危機にさらされていることを知った。なんとか少量でも急遽製造してもらえないか。すがる思いであちこちに電話をかけ必死の交渉を試みたが、製造現場に余裕はなく、いい返事が得られない。最終的に、製造してもらえれば配送は自分でするとまで言い切って、上司の助けを借りて緊急性が比較的低い製品と製造する順番を入れ替える交渉に当たった。すぐに東京から戻り、翌日、本当に上司と二人、トラックを借りて工場へ。こうして、なんとか欠品を出さず危機を乗り切った。
「いつもお客様のために製造部に頑張ってもらっているのに、営業担当の私がお客様にご迷惑をおかけして、住江織物に対する評価を下げるわけにはいかない」。そんな、チームへの責任感、お客様への責任感が、山口を駆り立てていた。
イレギュラーな市場の動きにも的確に対応できたことは、この後の山口の自信にもなった。お客様からの住江織物に対する評価は高く、西谷は、ニューモデルの立ち上げに向けての床材開発の依頼も受けた。今度も須見と山口との3人で複数の関門をクリアし、無事納入を開始。現在もより良い製品づくりのため、改良に取り組んでいる。
今回床用表皮材が採用されたシステムバスは、複数層の床構造により冬でもひやっとしない床を実現している。西谷のまだ小さな息子は、西谷が持ち帰った小さなサイズの表皮材を手にした途端、「あ、あったかい」と声を上げた。用途も理解できない幼い子の無邪気な一言は、今も、西谷の心に温かく響き続けている。