環境・社会への取り組み:住江織物グループCSRレポート

米国子会社不適切会計問題

今回の会計処理問題により、多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。 2016年11月4日付「社内調査委員会の調査報告および再発防止策の骨子等についてのお知らせ」として開示しております資料に基づき、これまでの経緯、修正対象とした不適切な会計処理の内容と対応および再発防止策について、以下の通りご報告いたします。

尚、再発防止策については、上記開示の後、取締役会承認を経て、12月20日開催の臨時株主総会にてご報告いたしました。

1.概要および調査の経緯

Suminoe Textile of America Corporation(以下、STA)において、2015年6月頃より生産の急増により生産ラインに混乱が生じ、2015年9月末中間決算期棚卸を延期いたしました。その後、2015年12月末に実施した中間棚卸において、多額の在庫差異を認識し、2016年1月以降の社内調査で、差異の原因を基幹システムの不具合および棚卸作業不備による誤謬と判断し、原因究明作業に入りました。

こうした中、2016年3月4日にDeloitteへSTAの元従業員からの内部通報があり、また、同月のDeloitteによる監査の過程において識別された合理性に疑義がある取引きについて、Deloitteからの指摘を受けました。 それ以降の経緯は、次の通りです。

2016年4月

当社およびSTAでの調査チームの立ち上げ、社内調査の実施

2016年5月30日

在庫の格上げおよび売上返品について、当社の事業部執行役員および部長からの影響の下になされた可能性があることが判明

2016年6月6日

外部弁護士等を含めた専門家による調査委員会および社内調査委員会の立ち上げ米国において外部調査機関の調査開始

2016年7月22日

外部調査機関からの中間報告

2016年7月29日

より公正性を確保した調査が必要であると判断し、第三者委員会を設置

第三者委員会は次の3点を目的として設置いたしました。

①STAにおける不適切な会計処理について、当社(産業資材事業部門に限る)の関与の有無・内容
②当社の関与が認められた場合の発生原因および問題点の分析
③本件に関連する当社のコーポレート・ガバナンス、内部統制システムの構築に関する分析

その後、第三者委員会から2016年10月25日付で調査報告書を受領いたしました。

当社は、第三者委員会の調査と並行して、社内調査委員会にて、外部調査機関による調査結果の分析と調査未了とされた事項についての追加調査、STAに赴いての各種資料の分析等、必要な調査を実施いたしました。

当社は、これらについての検証手続きを実施した結果、下記2記載の内容について、過年度決算の修正を行う必要があると判断し、既にご報告しておりました第123期(2012年5月期)から第127期(2016年5月期)までの連結財務諸表について修正を行いました。

2.過年度財務諸表における修正対象の概要

上記1の調査結果に基づき修正した項目の内、主な項目は次の通りです。

◆ コードおよびロケーションの不適切使用

在庫管理システム上で用いられる利用可能性コードや在庫ロケーションコードを用いて、品質不良在庫や架空在庫を隠すことで、収支改善を装ったもの。

◆ 売掛金(特急費用)の不適切な処理

顧客(1社)への納品に関して発生した特急費用を、顧客による負担金額の合意前に費用のマイナス処理を実施し、また、翌年以降の売上価格の調整を通じて、特急費用受領相当額を払い戻す旨の交渉が行われているが、将来における財務的な負担に対して適切な会計処理が行われていなかったもの。

◆ 補修部品在庫の評価

補修部品在庫の処理に関する基準が明確に作成されておらず、一部の製品では合理的な見積もり数量を超えた数量を在庫していたが、適切な評価減が実施されていなかったもの。

◆ 顧客からのチャージバック(支払取消し)

顧客(3社)からの支払取消し(チャージバック)の支払処理を遅らせることで、計上を翌期に先送りしたもの。

◆ その他

以上の他、①格上げ処理等、修正に反映したが、最終財務諸表に与える金額的な影響は低かったもの②社内調査委員会の調査として、不適切でなかったあるいは既に修正が行われていたと判明したもの。もしくは重要性が低く、修正対象と取り扱わないもの等。

◆ 上記修正による影響

これらの修正に派生して、税効果金額の変更および取り消しなどについても、遡って訂正しております。

表:金銭的な影響

3.再発防止策

再発防止策の骨子は以下の通りです。今後、可能な限り具体的な施策を構築し、着実に実行してまいります。

(1) 企業風土改革

意識改革・コンプライアンス強化・ディスクロージャーの重要性に関する認識を上げるため、社員へメッセージを発信してまいります。また、社員アンケートの前倒しを行い、忌憚ない意見を収集し、改善策に活かします。さらに、執行役員以上、部長クラスの幹部社員を対象とした研修を実施いたします。

(2) 全社的な意識向上教育の実施

上記幹部クラスの研修は、継続的に実施し、社員に対しても、資格・役職・職務に応じた会計・コンプライアンス・社内規程等に関する意識向上教育を実施いたします。

(3) 業績管理体制と子会社管理の見直し

①業績管理体制の見直し
他の部門とは異なり、産業資材事業部門独自で行われていた業績管理体制を見直し、全社として客観的な視点による評価・分析を行ってまいります。

②子会社に対する効率的かつ効果的なモニタリング体制の整備・強化
子会社の業績や経営課題のモニタリングツールとして作成される週報・月報の記載内容の見直しを行い、各社の会計システムや業務管理システムと連携可能とするなど、システム投資を含めた統括的管理体制を構築してまいります。

③関係会社管理規程の見直しと子会社監査役による現地往査・現地確認
関係会社管理規程を見直し、重点的に内部統制の運用状況をモニタリングしていく子会社を識別し、特に重点を置く海外子会社については、子会社監査役が可能な限り現地往査を行い、客観的な視点で現場を確認することといたします。

(4) STAのマネジメント体制の見直し

①意識改革・コンプライアンス強化・ディスクロージャーの重要性に関する認識
STAにおいては、特にコンプライアンスおよびディスクロージャーの重要性の認識を深めるための研修を実施し、今回の不適切会計処理が起こった要因、会計の基本原則、これからとるべき改善策について、経営幹部を含め社員に十分に理解させることといたします。

②適正な人員体制の検討
業務過多であったことを勘案し、STAのマネジメント体制の見直しを行い、必要に応じた人員増強および適正な人員配置を実施し、今後も適宜業務の負荷を見た上で、柔軟に対応してまいります。

③当社からの赴任者への対応策
不正があった場合の早期の顕在化をねらい、異動(赴任・帰任)ローテーションの定例化および人事部による個別面談・ヒアリングの実施を行います。

④CFOの直轄化
海外子会社のCFO(最高財務責任者)は、本社直轄の命令系統と改め、イレギュラーな会計処理において、牽制行為を十分に実施できる立付けに変更いたします。

(5) STAの在庫管理システムの見直し

①在庫管理に関するルールのグループ内での共有
当社での管理を強め、各子会社において在庫評価を行う際の恣意性が介入することがないよう管理体制を検討してまいります。

②実地棚卸の適正な実施および差異分析の徹底
STAにおいて、実地棚卸の手順を明確に定め、四半期ごとにその必要性や業務手順の確認を行うことで、従業員が実地棚卸の重要性を認識し、結果として適正な実地棚卸の実施に繋げてまいります。また棚卸資産の差異分析についても実施要領に明記し、必ず実行することとし、業務改善に活用してまいります。

③システム利用者の継続的な周知・教育
マネジャークラスへの社内教育の実施やIFS(“ERP:経営管理パッケージ”の1つ)システムに関するマニュアルの作成を行います。また、IFSシステムへの入力および出力される情報を管理する担当者・担当部署を明確にいたします。

(6) 内部統制の再構築

①内部統制システムの運用状況の確認および見直し
取締役会にて決議された内部統制システム(内部統制の整備状況、運用状況)の十分性・適切性について再確認を行います。その結果、整備自体に問題がある場合は再構築をし、整備自体に問題がない場合は、その運用が適切に行われているか確認し、必要があれば適切な運用に改めてまいります。

②内部通報(企業倫理ホットライン)制度の再構築
社内の不正や不祥事を早期に発見するため、自発的に企業内風土が正しい方向性に向く仕組みとして、内部通報制度を充実させてまいります。

③監査役の職務の重要性
グループガバナンスの観点から、重要な子会社、特に海外子会社の監査を重点的に実施するため、今後常勤監査役の増員もしくは監査役スタッフの選任を実施してまいります。

④実効的な内部統制報告制度の運用
STAの業務実態を正確に把握し、リスクの所在について認識と評価を行い、内部統制の評価に有効な統制行為を識別するとともに、評価部署である内部監査室の人員を増強し、評価を通じて内部統制の構築・改善に繋げてまいります。 また、当社およびSTAの全社的な内部統制については、上記再発防止策に記載事項を実施し、実効性のある評価に繋げてまいります。

4.経営責任の明確化のために行った対応

今回の事態の重要性を鑑み、その経営責任を明確にし、このような事態を二度と起こさないため、各取締役の報酬をカットいたしました。

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